プリンターの分解修理

MFC-J5620CDW
Brother MFC-J5620CDW

インクジェットプリンターの給紙不良と電源不良を修理

インクジェットプリンターはインクの出が悪くなったり、突然電源が切れて使えないトラブルがよくあります。

インクの出ない時の対応や給紙ローラーの清掃方法などについては、たくさんのサイトに改善方法が説明されていますので、そちらを参照してください。

このサイトでは、給紙ローラーの汚れでなく、ローラーが回転しなくて給紙しない故障や電源が入らなくなり、操作画面にエラーも表示しない、買い替え一歩手前の修理になります。

MFC-J5620CDW インクジェットプリンター複合機のトラブル状況

■対象機種

brother MFC-J5620CDW
FAX、WiFi、ADF(自動原稿送り装置)付き
インクジェットプリンター複合機

【トラブル状況】
・突然下部のカセットから給紙しなくなった。
・多目的トレイからは給紙する。
・その後電源が入らなくなった。

※電源不良の前に、クリーニングキットで数回給紙ローラーを清掃したが全く効果がなかった。

本体後部の多目的トレー部

■本体後部の外観

本体から飛び出た多目的トレー部を外さないとADF(自動原稿送り装置)や周囲のカバーなど殆どの部品が外せません。

樹脂の爪形状の篏合式(凹凸)で、ネジ類が全くありません。

外部から篏合部が分かりませんので、細いマイナスドライバーで探り出します。

無理に外そうとすると樹脂カバーが割れる恐れがありますので注意を要します。

上部カバーを開き分解作業の準備

■LAN、USB、TEL を接続する部分

上部にADF装置や原稿読取部が付いています。

本体カバー部に各種ユニットが付いていますのでかなり重く、不用意に締まると、ガラス面などが壊れそうなので、開かないように荷造りテープで開き止めをしました。

それでは、左に見える配線部分から外していきます。

配線のコネクターを外す

■配線を全て外す

全てロックなしのミニコネクターです。

コネクターを指で摘んで引き抜きますが、決して線を引っ張らないようにしてください。

抜けない時は、マイナスドライバー(小)をコネクターの隙間に差し込むと抜けます。

元の位置を忘れてはいけないので、写真に撮っておくと安心です。

配線カバーを外す

■配線カバーを外す

上部に見えている配線を全て外した後、その下にある配線カバーを外します。

6ヶ所ほどの爪(凹凸)で引っ掛かっていますので、上方に引っ張ると取れました。

簡単に外れましたが、多少のコツが要るかも?

無理に外そうとするとカバーが割れそう。

ダンパーを外す

■ダンパーを外す

重い本体カバーを保持するダンパーです。

ステーの下側が半円形状になっており、樹脂のピンに嵌め込まれていますので、半円の外れる方向(欠けた方)に押すと外れます。

上部はロックレバーを押しながら下へスライドすると外れました。

※内側にネジが数本ありますが、外す必要はありません。

取り外したダンパー機構

■取り外したダンパー機構

上方に凹形状の円が見えますが、その円の右側が欠けています。

この欠けた方向に押すとピンが抜けます。

右下の割れ目の右側の細長い部分がロックレバーです。

多目的トレー部の左右のカバー(上)

■本体背面にある左右のカバー(上)

多目的トレーの両側の上部に付いているカバーを外します。

樹脂の爪で引っ掛かっていますので、小型のマイナスドライバーを隙間に差し込み外します。

無理な力を掛けて壊さないように丁寧に外します。

多目的トレー部の左右のカバー(下)

■本体背面にある左右のカバー(下)

多目的トレーの両側の下部に付いているカバーを外します。

樹脂の爪で引っ掛かっていますので、小型のマイナスドライバーを隙間に差し込み外します。

無理な力を掛けて壊さないように丁寧に外します。

多目的トレー部の右側を分解

■背面から見た多目的トレーの右側

右が上部になります。

コネクターを抜きフォトインタラプタの基板ホルダーごと手前に引っ張り出します。

しかし、どうしても外れないので最後にラジオペンチで引き抜きましたので、ホルダーの一部が欠けました。※機能には影響なし

ホルダーを取り出すと奥にプラスネジが見えますのでドライバーで外します。

多目的トレー部の左側を分解

■背面から見た多目的トレーの左側

左が上部になります。

①中央のプラスネジをドライバーで外します。
②寝かせていたプリンターを立てます。
③多目的トレー部を、手が入るまで手前に引き抜き隙間を開けます。
④本体と多目的トレーの間から、平歯車に刺さている白い樹脂の軸を引き抜きます。
⑤歯車用ハウジングを取り出します。
⑥この状態で多目的トレー部が外れます。

外れた本体カバー

■外れた本体カバー部

ADF装置や原稿読取部で構成されている本体カバー部が外れました。

左上の突起部がプリンター本体と篏合します。

フラットケーブルや配線などが切れないよう、荷造りテープなどでカバーに貼り付けておくと安心です。

外したネジや小物部品

■ここまでに外した小物部品

平歯車・センサーハウジング・ネジ・歯車用ハウジング・他

外れた手差しトレイ部

■外れた手差しトレイ部

多目的トレー部の手前にある手差しトレイ部です。

カセットの用紙サイズを変えずに印刷できるトレイです。

1枚づつハガキからA3サイズまで印刷できます。

外れた多目的トレー部

■外れた多目的トレー部

ハガキ・封筒・A3まで印刷でき、普通紙なら約80枚セットできます。

裏面使える用紙をここで保管し、メモ印刷やテスト印刷に使って、節約に寄与しています。

目的のカバーを外す

■目的のカバーを外す

黒ビス6本で止まっていますので簡単に外れました。

このカバーを外すために、今までの作業が必要でした。

※簡単に分解されないよう工夫を凝らしているのかも、考え過ぎですか ❓

本体の前カバー

■プリンター本体の前の左下のカバー

このカバーは外す必要はありません。

最初に練習のつもりで外しました。

メンテナンスカバーを取り除いた本体の中身

■プリンターの中身

本体の背面から見ています。

左にインクカートリッジやプリントヘッドがあります。※この状態では見えていません。

その上部にインクが滲んだ廃液タンクが見えています。

5年ほどでこのように溜まるようです。

プリンターの底部

■プリンター本体の底

中央の白い部分が下のカセットの用紙を繰り出すローラー部分。

この給紙ローラーが回転したり、しなかったりしていた。

カセットから用紙が少し出たり、出ていなかったりしていたので、モーターの駆動が、繋がったり切れたりするクラッチの役目をしているところが何処かにあるはず、そこを探すのが目的です。

配線・基板・シャーシー・カバーなどを外す

■基板・配線を外す

ここからは配線・基板・シャーシー・カバーなど全てを外します。

右がプリントヘッド・インクカートリッジ・廃液タンクです。

ここは線・ネジ・小部品が多いので、前回と同様、写真を撮っておくと安心です。

エンコーダーとパルスモーターによる給紙制動部

■給紙制動部

右上の薄い円盤が給紙用エンコーダーです。

エンコーダーとフォトインタラプタで、パルスモーターを制動し、正確な用紙送りを可能にしています。

このエンコーダーのスリット部が、ゴキブリの糞のようなもので汚れていましたので、綺麗にお掃除しておきました。

この汚れは、給紙不良とは関係ありません。

余分のインクの吸収部分

■プリンターヘッドのインク吸着部

ヘッド部に付いた余分のインクを吸着する部分です。

かなりインクで汚れていましたのでテッシュで吸い取りました。

ここにインクが溜まると、用紙の左側にインク汚れが出ます。

これは本題とは関係ありませんが、分解のついでに掃除しておきました。

インクとクリーニング液の廃液タンク部

■廃液タンク

ヘッドクリーニングなどの廃液がこのタンクに入っています。

タンクの底に溜まっていたインクを吸い取りました。

タンクの底に排管と配線がありました。

※廃液の量を検知し、機能を停止している ❓
※ROMをクリヤーしないと復帰しないかも ❓

給紙駆動のクラッチ機能部

■給紙駆動のクラッチ機能部

バーコードの下の白いレバーをプラテンが押すと給紙ローラーが回転しました。

プラテンがレバーから離れると駆動が切断され給紙しませんでした。

このレバーの動作と平歯車が連動し、駆動のクラッチの働きをしています。

このレバーに白いグリースが塗布されているのですが、何年も使っているので、滑りが鈍くなっていました。

ミシン油の注油でクラッチが軽く動作するようになりました。

現在正常に給紙しています。❤

分解した主な部品の一覧

■分解した主な部品

左上の本体部は、基板・配線・カバーなど全てを外しましたが、写真を撮るのを、忘れていました。

多目的トレー部の平歯車の所は少し苦労しましたが、後は逆順に組み立てて完了です。

分かりにくい所があればご連絡ください。
分かる範囲で説明させていただきます。

■電源が入らなかった件

電源が入らなくなっていたのは、ACコネクターが外れかかっていました。

このコネクターにはロックが付いていなかったので、長い間の振動で、徐々に外れてきたのではないかと思います。

コネクターはロック付きとロック無しタイプがありますが、このプリンターは全てロック無しでした。

作成者: Tetsuji

若い頃は機械設計が専門でしたが、今は1,000㎡余りの畑で野菜や果物をオーガニックで栽培しています。また、貸家もDIYでリフォームし残りの人生を謳歌しています。昨年(2021)はヘンテナを作り楽しく鑑賞しています。

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